アメリカン・メスメリズムの系譜から
American Mesmerism
「こころに思ったことがその通りになる」
そういったビジネス本やセミナーをよく見かけませんか?
アメリカの成功哲学などで語られることの多いこの言葉。
これをたどっていくと一人の人物にあたります。
「ニューソート」(New Thought)と呼ばれるキリスト教宗教運動の創始者の一人とみなされているフィニアス・P・クィンビー(Phineas P. Quimby) がその人。
クィンビーは、あるとき重い病気にかかり、メスメル派の治療者によって癒されます。
このときの治療は、催眠術と心霊術を組み合わせたようなものであったと伝えられています。 (メスメリズムのパス法?手かざし?)
その後、自分自身も治療者となりますが、やがて彼は「病は気から」という信念に取りつかれます。
すなわち、病は全て悪い信念から生じるものであるから、心のゆがみを治せば肉体の不調も治るという思想です。
(アメリカの成功哲学:
- 「良いことを思えば 良いことを引き寄せ
- 悪いことを思えば 悪いことを引き寄せる」
の源流ということでしょう。)
そして、彼は自分の治療が、イエス・キリストが行なった治療と同一であると主張するようになります。
『神とはこの世の本質であり、「科学」であり、
イエスがキリストとして説いた原理である。
そして、自分はそのキリスト科学を再発見した。』
という主張です。
この考え方は クリスチャン・サイエンスに引き継がれることになります。
その中から、ジョセフ・マーフィーなども出てきます。
(ディヴァイン・サイエンス教会)
ジェームズ・アレン、ナポレオン・ヒル、スティーブン・コヴィーなどもその系譜に連なる人たちです。
こうやって見ると、本屋には催眠本、新興宗教本が、「ビジネス」の棚あたりに一杯ならんでいるようにも感じられます。
催眠の原理や歴史などをきちんと書いた本は少ないのですが、読んだ人を催眠誘導しようという本は次から次へと出てきますね。
それから、自己啓発セミナーなども、このニューソートを利用したもののひとつです。
アメリカン成功哲学の基本は催眠。
そして、特にメスメリズムと結びついたキリスト教系新興宗教。
それが形を変えて日本に輸入され、ビジネスマンの多くにも受け入れられていることについて、レイキの流れと比較してみるのも面白いかもしれません。